患者も薬剤師も離さない! 「薬剤師が就職したい薬局」と呼ばれる小さな実力派薬局のヒミツ

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 また、同社にはこうした研修プログラムを作る「教育」や、「調剤」「メンタル」といった各種の研究会があり、それぞれが勤務時間外に勉強会を実施。入社3年目以降になるとこれら勉強会の主催を任され、薬剤師としてだけでなく、管理者や経営者としての能力も培うことになる。研修や研究会の内容は固定することなくつねに見直しをかけ、ほかにも外部講師による講習会を開くなど、とにかく研修に次ぐ研修の嵐だ。

若いうちに研修漬けにする理由には、サービス業としての意識を植え付けるだけでなく、「会社にとって人材は宝。絶対的にこれ以上のものはない」という青木社長の確固たる信念がある。実はこれも、過去の事業の失敗から得た教訓だ。

実際に、同社は中途採用をほとんどしない。しないというより、必要ない。大病院前で多くの薬を扱えるという魅力もあるが、人材を一から育て維持していく経営が浸透しているため、薬剤師側も充足感を得られ、それが他社もうらやむ定職率の高さとなって表れているのだ。その結果、調剤に専念する薬剤師だけでなく、在宅向け調剤など新たな分野を担う人材に事欠かない。

こうした社員の満足感が日生のサービスにつながり、薬局には珍しく「お宅しか行かない」と患者から手紙が届くこともあるという。

薬局・ドラッグストア入り乱れて再編が本格化する中、試行錯誤を糧に、柔軟性と人材力に磨きを掛ける日生薬局。自ら描く「未来の薬局」に向け着々と地歩を築いている。

(倉沢美左 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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