ソニー、4-12月営業益は前年同期比2.3倍に イメージセンサーは急ブレーキ

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 1月29日、ソニーが発表した2015年4─12月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前年比2.3倍の3870億円となった。都内で27日撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 29日 ロイター] - ソニー<6758.T>が29日発表した2015年4─12月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前年比2.3倍の3870億円となった。前期に巨額の減損損失を計上したスマートフォン事業の赤字が縮小したほか、ゲーム事業も好調だった。

ただ、イメージセンサーなどのデバイス事業に急ブレーキがかかり、暗い影も落とした。これを受け、同社はイメージセンサー生産計画の見直しに着手。会見した吉田憲一郎副社長兼最高財務責任者(CFO)は「来年度4─6月期からは回復傾向をたどるとみているが、スマホ市場の成長鈍化を前提に今後の事業計画を策定する」と語った。

売上高は前年比0.1%増の6兆2816億円だった。スマホ事業やテレビなどのホームエンタテインメント&サウンド事業の減収を「プレイステーション4」が好調なゲーム事業が補った。

今回の決算で目立ったのが、デバイス事業の不振だ。4─12月期でみると514億円の営業利益を稼ぎ出したが、10━12月期に限ると117億円の赤字(前年同期は538億円の黒字)に転落した。

電池事業で306億円の減損を計上したことに加え、イメージセンサーの減収も響いた。「スマホの市場成長がハイエンドで減速、特に11月以降に主要な顧客からの需要が減少したことが大きく影響している」(吉田副社長)という。

こうした状況を受け、同社はイメージセンサーの投資・生産計画について見直すことを決めた。吉田副社長は「スマホ市場が成長するという前提を変えて、横ばい、あるいはハイエンドについては縮小する可能性もあるということで予算策定をする」と語った。

もっとも、長期的には強気の見方を維持している。吉田副社長は「短期的には調整局面面を迎えていると認識しているが、複眼化の進展への期待やIoT(インターネット・オブ・シングス)、車載向けといったテーマもあり、長期的に見てこの事業が成長けん引領域であるという位置づけは変えていない」と強調した。

スマホ市場の減速はカメラモジュール事業にも影響を及ぼしており、吉田副社長は「今後も継続的に事業の収益性に悪影響をおよぼす可能性があり、減損につながる可能性がある」ことを明らかにした。同社の12月末時点のデバイス事業の固定資産は約4300億円あり、このうちカメラモジュール関連の資産は15%弱ある。

通期業績予想は据え置いた。営業利益予想は3200億円で、4─12月期の営業利益実績はすでに通期予想を超えている。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト22人の予測平均値は3742億円。前提為替レートは1ドル120円、1ユーロ129円。

*内容を追加しました。

 

(志田義寧)

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