お酒と清涼飲料の知恵を結集、裾野広がるノンアルコールビール


 ビール風味のノンアルコール飲料「キリンフリー」が好調な売れ行きをみせている。4月上旬の発売から3週間で年間目標(63万ケース)の4割分を販売し、量販店でも品薄となっている。

開発に着手したのは2007年秋。飲酒運転撲滅意識が高まる中、飲食店からの「本当に安心して提供できるものが欲しい」との要望も強かった。従来の低濃度飲料はアルコール分を極力「抑える」発想だが、「キリンフリー」はアルコール発酵する酵母自体を使っていない。従来にない製法でビール特有の重みや爽快感に近づけるため、チューハイの開発チームや清涼飲料のキリンビバレッジも開発に参加。知恵と技術を集めてアルコール「0.00%」のビール風味をつくりあげた。

当初からドライバーの需要は見込んでいたが、東京湾アクアラインの「海ほたるパーキングエリア」では、従来のノンアルコール品の5倍のペースで売れている。さらに、妊産婦や高齢者などアルコールが摂取できない人たちからも思いがけず喜ばれているという。「(通常の)ビール開発ではいかに飲めるシーンを広げるか考えていた。だが、日本では飲めないシーンが増えていると実感した」(キリンビール・新商品開発グループの梶原奈美子氏)。“ビール最盛期”を迎え、ニッチだったノンアルコール飲料の裾野が広がりそうだ。

(倉沢美左 =週刊東洋経済)

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