瀬戸際のパイオニアに、ホンダが出資する理由

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 しかし産活法による公的資金注入は、企業再生とともに産業再編や新事業創出を促し、日本の国際競争力強化を目指すもの。単なる不振企業の救済資金ではない。

パイオニアはこの公的資金を獲得するため、ホンダとの盤石な資本・業務提携関係をアピールし、経営資源を集中させる車載事業の発展可能性を示す算段だ。ホンダ以外にも、三菱電機との車載AV機器の共同開発計画や、中国・上海汽車工業との開発合弁案も発表。複数企業との提携で再生の青写真を描く。

それでもなお、申請の可否を下す経済産業省からは「この計画ではまだ足りない」との厳しい声が聞こえる。車載業界に構造改革をもたらすには力不足という見方なのだ。そもそもパイオニアの経営不振は、長く劣勢だったプラズマテレビからの撤退が遅れたことに端を発する。経営判断を誤った企業に対し、公的支援に厳しい審査の目が光るのは当然といえる。パイオニアは国の“救済”にあやかれるか、展望は不透明だ。

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(杉本りうこ、撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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