(第27回)大手企業のコア人材採用の第一波が終了、主要企業の大多数が内々定出し

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●内定が取れない子どもに、親も焦る。急増する保護者からの電話相談。

 紹介した学生のようにしっかりと準備し、計画性をもって就活する学生が企業にコア人材だと評価されるなら、そのように評価されない学生はどうなのだろう。日経新聞の4月30日に「就職活動 親も参戦 我が子心配…説明会満席」という見出しが躍った。大阪の追手門学院大学では、今年の1月の保護者向け説明会に定員の200人を120人上回る申し込みが殺到、急遽3月にも開催の運びとなった。また、同記事には早稲田大学にも相談電話が毎日3~4件は寄せられているということも書かれている。相談内容は「就職するには環境が厳しいから留年したいと言う、どうすべきか」という学生の間で“就留”“就浪”といわれる行為に関するものが目立つようだ。
 先日、首都圏にある私立工業大学のキャリア教育担当の教授と話す機会があった。教授に聞くと、「キャリアセンターの職員が一人一日平均で5~6本の保護者からの就職相談電話に対応している」とのことだ。

 採用プロドットコムが2008年12月16日~2009年1月9日にかけて、企業の採用担当者に「技術系採用の増減計画(昨年比)」を聞いたところ、社員数1~100人・101~300人・301~500人規模の企業では、すべての企業規模の平均値(14%)と同じ、もしくは全体の平均値を上回る割合で「増やす」の回答が高かったが、その一方で、社員数501~1000名・1001~5000人・5001人以上規模の企業の場合、すべての規模の平均値と比べて「増やす」の割合が低く、なかでも5001人以上の大企業だけを見た場合、全体で14%の企業が技術系採用を「増やす」としているのに対し、「増やす」はわずか4%だった。
 採用ニーズが比較的底堅いと言われている理工系でさえも、大企業は採用数を絞りこんできているというわけだ。一方で、従業員数の少ない中小・中堅企業に学生の就職目線が向いているのかというと、一部ではその傾向があるかもしれないが全体的には甚だ怪しい。でなければ、“就留”“就浪”という言葉がネットの間で就活生用語として一般的に飛び交うわけもないし、親も大学に電話をかけてくることもないだろう。
 先の教授にデータを交えながら、「中小・中堅企業は理工系採用に意欲的な企業は少なくないですよ」と話したところ、「そのあたりが大きな課題になっているんだ」と、やはり学生の目線が中小・中堅に向いていないことを嘆いていた。

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