通勤電車の座席をめぐる「仁義なき戦い」 鉄道会社は改善するつもりがあるのか?

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眠って隣人にもたれかかるリスクもなくなるし、お年寄りや足の不自由な人が、立ったり座ったりする際につかまることもできる。

おそらく、いわゆる「直角組み」も防げる。ほどほどに空いていると、くるぶしを膝頭に乗せて靴底を他人に向けて足を組む、いわゆる直角組みの男性が増える。座席の奥行きよりも奥行きが深い仕切りがあれば、邪魔になって直角組みはやりにくくなるだろう。

直角組みは、日本人女性の場合は、パンツスタイルの人でもやっているのを見たことはないが、欧米人だと男女ともによくやっているのを見かける。

座席は減るがトラブルも減る

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男性客に多い足組みもトラブルのもとだ(写真:よっし/PIXTA)

だが、直角組みを許容する女子は極めて少数派だ。軽い殺意すら抱かれるほど嫌がられると思った方がいい。

靴底が他人に触れさえしなければいいと考えている男性は結構いるらしいが、他人に靴底を向けられること自体が失礼極まりないと感じるのは、どうやら女性だけではないらしい。

「自分がやられて嫌なことは人にもしない」は人としての基本だが、直角組みをする人が、自分がやられても嫌だと感じないのだとしたら、嫌だと思う人が相当数いることを知ってもらわねばならない。もっとも、自分の査定権を握る上司が隣に座っていても、その上司に靴底を向けて直角組みが出来るという人がいたら、是非お目にかかってみたい。

仕切りを設けるために一人分の座席が減ったとしても、その方がおそらくトラブルは減る。鉄道各社の方々、一笑に付さずに是非検討してみていただきたい。
 

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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