澤上篤人・さわかみ投信代表--ゼロ金利をやめれば経済は勝手に良くなる

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澤上篤人・さわかみ投信代表--ゼロ金利をやめれば経済は勝手に良くなる

独立系の直販投信として日本の金融市場の常識をひっくり返してきた、さわかみ投信の澤上篤人代表。“長期投資の伝道師”が説く、閉塞打破へのヒントとは?

--さわかみ投信を立ち上げてちょうど10年目を迎えます。

個人マネーの動きはどんどん変わっている。個人金融資産の55%が預貯金に、18%が生命保険に寝ているが、この「預貯金ツンドラ」に眠っていたおカネが動くぞ、というのをはっきり感じる。これから3年くらいしてくると、ツンドラはかなり崩れ出し、5年後は雪崩がすさまじくなって、10年経つと、結構地図が変わっているはずだ。個人金融資産1000兆円のうち1割、つまり100兆円が投信に流れ込んでもおかしくない。

--その動きは、今般の金融危機でも変わらない?

変わらないね。むしろますます動き出している。私は毎週末に地方で勉強会を開いているが、1回の参加者は軽く200人を超える。

--しかし、ゆうちょ銀行を見ていても、個人マネーが急激に動いている印象は受けません。

現状は現状、いずれ変わる。ゆうちょ銀も百数十兆円の資産が半分になるかもしれない。これは激減よ。

--そうなると、国債の発行元の財務省は困りますね。

政策目的でやっているから、ゼロ金利政策とか超低金利政策とかをできるわけ。(機関投資家は国債を買っているが)受益者の財産形成のために、本当に金利1・3%の国債を買っていていいのか。

1992年から総合経済対策をやっているが、おかしいよ。大量の資金をバラまいて経済対策をやりながら、同時にゼロ金利。これは矛盾している。景気対策をやりながら景気をよくするということは、金利上昇を容認しないといけない。金利が上がりそうだから、皆、前倒しで動く。金利上げないぞ、と言って景気対策やると(死んだも同然の)ゾンビ企業が喜ぶだけじゃないか。本当は不況の効用で淘汰されるわけよ。そういう市場の浄化作用とかを全部封印し、政府の都合を押し通して、これで経済は動くと思うほうが間違い。

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