三越伊勢丹HLDは、破綻した丸井今井の再生支援に乗り出すが、新たな「負担」も

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三越伊勢丹HLDは、破綻した丸井今井の再生支援に乗り出すが、新たな「負担」も

百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスが、民事再生手続き中の老舗百貨店丸井今井(北海道)の再生支援企業(スポンサー)に決定した。

丸井今井は09年1月に経営破綻。再生支援にあたっては、すでに同社に13%出資していた三越伊勢丹に加え、高島屋も名乗りをあげ、2社の争いとなっていた。両社は4月15日に再生計画案を提出。再建に伴う支援金額や、店舗(札幌、函館、旭川、室蘭)の存続、従業員の雇用などが焦点となり、一時は地元有力紙などが「高島屋が有利」と伝えるなどしたが、最終的には三越伊勢丹で決着した。

丸井今井は「再生計画の内容やスケジュールの詳細については、今後三越伊勢丹側と協議健闘する」としている。店舗の存廃については、札幌店、函館店は従来通り営業を継続するものの、旭川店については今後3~4カ月後を目処として閉店。すでに別会社で運営している室蘭店については従来方針通り、2010年1月まで継続する。丸井今井の従業員の雇用は約6割程度に止まる模様だ。

今後の焦点は、改めて丸井今井の再生に移る。三越と伊勢丹が経営統合した08年から溯ること約3年前の05年、丸井今井は伊勢丹と業務提携。伊勢丹新宿店メンズ館のエッセンスを注入した紳士フロア「マルイメンズ」をはじめ、次々と伊勢丹流の新しい売り場を誕生させた。だが一連の売り場改革は、品揃えが地元の北海道民には高級すぎる、との指摘も多く、不調に終わっている。丸井今井が破綻した09年1月以降、道内の百貨店首位の座は、03年に札幌駅前に進出した大丸札幌店がとってかわった。これ以降、大丸札幌店は3カ月で首位の座をキープしている。
 
 一つのポイントは目と鼻の先にある三越・札幌店との連携強化。かつてのライバルは今や同じグループ。首位の座を明け渡したものの、三越、丸井今井、両札幌店の売上高合算は、なお大丸札幌店を大きく上回る。だが百貨店という業態そのものが消費構造の変化に対して対応がおくれており、再生は容易ではない。法的整理後の支援で負担が従来よりは軽くなったとはいえ、三越伊勢丹にとっては「新たな負担」になりかねない。

なお、4月に発表された丸井今井の09年1月期業績は、売上高382億円、純損失11.4億円(6カ月の変則決算)。同社が今後新たに連結対象となれば、札幌店の売上高約500億円程度が上乗せされる見込みだ。「東洋経済オンライン」は、当面予想を据え置くものの、12日の三越伊勢丹の前2009年3月期決算発表後、適宜見直していく。

(福井 純)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2009.03予 1,420,000 15,000 30,000 11,000
連本2010.03予 1,300,000 7,000 22,000 9,000
連中2008.09  705,436 11,221 19,236 12,198
連中2009.09予 630,000 3,000 11,000 5,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2009.03予 28.4 14特
連本2010.03予 23.2 10 
連中2008.09  31.5 0 
連中2009.09予 12.9 0 

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