《検証・民主党》雇用--野党共闘も今は昔? 難産続く派遣法改正案

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これに懲りた民主党は、参議院で統一会派を組む社民党との水面下での協議を本格化。民主党の細川律夫衆議院議員(非正規雇用対策PT座長)と社民党の近藤正道参議院議員のラインで折衝が続けられた。その結果、民主党は昨年11月に当初は「議院法制局が認めず難しい」としていた、直接雇用みなし規定を従来の法案に追加するに至った。民主党はこれを野党案として、すでに提出済みの政府案との議論に歩を進める腹積もりだった。が、この時期には年末の派遣切りの実態が明らかとなりつつあり、その対応としてはまだ不十分として、他の野党の合意を得ることはできなかった。

なおも法案提出の道が探られたが、12月に緊急雇用対策本部長に就任した菅氏の方針で、単独での法案提出は完全に凍結された。1月早々には、菅、福島、細川、近藤の4氏が初会合を持った。製造業での派遣切りが目立った「派遣村」直後だったこともあり、「製造業派遣への規制が必要との共通認識に至った」(細川議員)。ただ、社民党側から見ると「民主党は禁止は製造業のみとする点を強調するが、こちらは製造業も含め不安定な登録型派遣は専門職に限定する点を重視している」(福島党首)と溝は残った。

この会合後、国民新党を含めた「3党学習会」を3度にわたり開催し、その溝を埋めるべく認識の共有に努めたが、いまだ合意には至っていない。残された論点ははっきりしている。民主党としては、あくまで従前の民主党案をベースとして、製造業派遣禁止を加えるのがギリギリというスタンス。社民党、国民新党は業種を問わず登録型派遣は専門職に限るという点は譲れないとしている。

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