ガソリン求め長蛇の列も… 暫定税率は大変な問題だ−− 渡 文明 石油連盟会長

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ガソリン求め長蛇の列も… 暫定税率は大変な問題だ−− 渡 文明 石油連盟会長

ガソリンなど暫定税率の期限が迫っています。期限切れになった場合の影響は?

期限切れとなれば3月末まで買い控えた消費者が、4月に入ると一斉にガソリンスタンドに殺到するおそれがある。今は全国で一日15万キロリットルしか売っていないが、4月1日には200万キロリットルの需要が見込まれる。ガソリンスタンドに長蛇の列、あるいは売り切れ、品切れ……。この問題は国民に大変なシワ寄せを押し付けることになる。

(石油連盟は)道路特定財源の一般財源化には絶対反対。本当に道路を造る必要がなくなったのか、今後何年間、暫定税率の適用が必要なのかなどを十分に議論した結果なら、今の税率を下げても構わないと思う。

ガソリンには製油所からの出荷時に課税される「蔵出し税」が適用されています。4月1日以降に販売されても、3月末までの出荷分には上乗せ税率がかかることになります。

在庫の見通しからすると、3月末時点で約200億円の税金を支払っている計算になる。この分を「税金還付してくれ」と国に申し上げている。そうすれば暫定税率が期限切れになっても、(石油業界の負担なしに)4月1日から新税による価格を適用できる。

米国産標準油種(WTI)の4月渡しが1バレル=110ドルを突破するなど、原油価格の高騰が続いています。

実態の需給バランスは、むしろ緩和状態にある。価格が上昇する余地はないのではないか。2008年の世界需要見通しは日量8750万バレル。一方の供給は8780万バレル、需要よりも多い。不足状態にはない。ではなぜ、価格が上昇しているのか。それはインフレ懸念がある一方で、流動性資金が、(リスクが比較的低いとされる)原油や金のマーケットに流れていることだ。理由はこれに尽きる。

原油価格の高騰はしばらく続くのでしょうか。今後の見通しは?

円高局面でなければ、今は1バレル=90ドル程度になっていたはず。今後もサブプライムローン問題などに影響されることが考えられ、90~110ドルのレンジで続くだろう。年末から来年初めにかけては、80~90ドルの間で落ち着いてくるのではないか。

地球温暖化に関する問題で、温暖化ガス削減の数値目標設定について、先進国と途上国の間で主張に溝があります。

これから発展しようとする途上国に先進国並みのエネルギー効率を求めることは不平等ということなのだろう。ただ、(先進国が途上国に技術・資金援助をする手法も議論されているため)先進国はトップランナーの技術を持ち込めるメリットがある。話し合えば理解できる内容だ。
(梅咲恵司 撮影:尾形文繁=週刊東洋経済)

わたり・ふみあき
1936年10月3日生まれ。60年新日本石油入社、92年取締役販売部長、95年常務、2000年社長、05年から現職の会長に。石油連盟の会長は03年に就任。

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