出口治明氏「挫折なんて歴史に山ほどある」

日本人の「大人」に最も足りないのは勉強だ

出口さんの「挫折」に対するとらえ方とは?(撮影:菊岡 俊子)
“ネット生保”という新たな地平を切り拓くライフネット生命。この新進気鋭のベンチャーを還暦というタイミングで開業し、現在も会長兼CEOとして会社を牽引する出口治明さん。京都大学法学部を卒業し、日本生命で要職を歴任。『人生を面白くする 本物の教養』(幻冬舎新書)、『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)など多数の著書があり、今年に入ってからも『働く君に伝えたいお金の教養』(ポプラ社)、『「全世界史」講義Ⅰ 古代・中世編』『「全世界史」講義Ⅱ 近世・近現代編』(新潮社)を立て続けに出版。メディアのオピニオンリーダーとしても活躍する出口さんですが、はたして挫折の経験などあるのでしょうか?

ショックで部屋から出られなくなった失恋体験

──正直、出口さんに「挫折」という言葉はあまり似合わないような気もしますが……。

いえいえ、そんなことはありません。人生で初めて味わった挫折は小学6年生のときの「失恋」です。人間は動物です。動物はいいパートナーを見つけて子どもをつくり、自分の遺伝子をコピーして残していくことが、大事な仕事のひとつです。だから、人に恋をしてフラれるということは、人間にとってはとても大きな挫折なのですよ。

──それは具体的に、どんな失恋だったのでしょう?

当時、僕はミホコさんというクラスメートを何となく好きになっていたのですが、当時のことですから全然声などはかけられませんでした。でも、彼女の方を見るといつもニッコリしてくれるのです。それを思いきって親友の男友達に話したら、「俺にもニッコリしてくれるで」と言われ……。つまり、ミホコさんは誰にでも目が合ったらニッコリしていたのですが、それにショックを受け、しばらくは部屋に閉じこもる日々を送りました。つまり、告白すらしていない失恋ということです(笑)。

──世界中の男子が共感する甘酸っぱいエピソードですね。

もっとわかりやすい挫折で言うと、日本生命時代、当時の新社長と衝突して国際業務部長から営業部門に左遷されたこともありました。僕は40代の中頃にロンドン事務所で働いていましたが、そこで「保険業界のグローバリゼーションは不可逆的だな」と確信しました。そのあと国際業務部長になり、「2020年に収益と売り上げの2割を海外から稼ぐ会社にしなければ」と思い立ち、「グローバル20」という計画を役員会に上げたのです。1996年に2020年の話などしたので、会議ではさんざん反対もされましたが、計画自体はなぜか役員会を通ってしまいました。それで僕は張り切って取り組み始めたのですが、そのタイミングで社長が交代してしまい……。

次ページ新社長との衝突、そして営業部への左遷……
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