廃棄食品横流しのダイコー、「隠し倉庫」の闇 実は県の担当者も知らない保管場所がある

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ダイコー本社から直線距離で約3キロのところにある300坪ほどの敷地には、廃屋のような小屋やコンテナが並んでいる。ここはいったい何なのだろうか

壱番屋の冷凍カツをはじめ、委託された廃棄食品を次々に横流ししていたとされる愛知県稲沢市の産業廃棄物処理会社「ダイコー」。創業者である大西一幸会長らがほとんど表に出てこないまま、24日には市内の本社や配送センターと呼ばれる旧本社に愛知県警の家宅捜索が入った。

だが、そこから遠くない静かな田園地帯の一画にも、事件の核心は隠されていた。

フレコンバッグの裏から「マルコメ」製品

ダイコーの本社から直線距離で約3キロ。田んぼに囲まれた300坪ほどの敷地には、廃屋のような小屋やコンテナが並ぶ。しかし大半は屋根や囲いのない屋外で、荷積み用のパレットがうず高く積み上げられていた。フォークリフトの運転席には蜘蛛の巣。機械やドラム缶は錆びだらけ。かすかに鼻を突く異臭がする。

産廃と書かれたフレコンバッグ

「産廃」と黒いスプレーで殴り書きされたフレコンバッグの山の裏に、崩れかかったダンボールの積み荷が見えた。かぶせられたシートのすき間からは、「marukome」「プラス糀 生塩糀」「賞味期限2014.03.29」の文字が読める。主な転売先である岐阜県羽島市の食品卸「みのりフーズ」の倉庫では見かけられなかった箱だ。息をのみながら、カメラで接写した。

この土地はダイコーが旧社名「ダイキン」の稲沢工場として使っていた。ダイキンの社名で「土壌改良用破砕もみ殻」と記された緑色の袋があちこちに置き去りにされている。だが、錆びついた機械類から見て、少なくとも近年は「工場」というよりただの「倉庫」だったのは明らかだ。それどころか、表の看板はまったく別の肥料会社の名前になっている。看板に記されている電話番号にかけると、無関係だという一般家庭につながった。“隠し倉庫”と呼んでいいのかもしれない。

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