(第26回)不況下でも粛々と進む2010年春の選考活動

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●総合商社は4月第2週に二次面接に突入

 次に、総合商社の2010年採用をだが、4月1日より筆記試験を実施、その週末から一次面接、選考通過者に4月第2週から二次面接に突入している。総合商社は倫理憲章を意識しているだけではなく、腰を据えた本格選考の段階で他業界とのバッティングを避ける傾向にあるといわれている。そのような傾向は、事務職採用を極端に絞ったメーカーの選考にも影響が出ている。何社かのメーカーの採用担当者にヒアリングしたところ、「総合商社を志望する優秀な文系学生を、4月1日からメーカーを第一志望で受けるようにもっていくことに骨を折った」と本音を語る。

 総合商社の4/1以前のコミュニケーションは、少人数の説明会や社員との懇親会が中心。
 総合商社についても、セミナーに参加した学生の声をいくつか紹介してみよう。

・若手社員との座談会で、話を聞く社員を学生が選べるので、興味のある分野の社員と話すことができた。時間も十分にとっておりかなり満足できる内容であった。
・社員との質疑応答の時間が、2時間のセミナー中、1時間半もとっており、疑問が解消され、消化不良がなかった。
・若手だけではなくベテランの方の意見も聞けた。数年後の働き方だけではなく、何十年後の働き方が見えた気がする。
 総合商社の選考前コミュニケーションは、
(1)疑問や興味に対する学生の主体性を引き出すため、たっぷりと時間をとっての双方向のコミュニケーションで実施する。
(2)体験ゲームなどで商社のビジネスを理解させ、興味を喚起。参加者同士の連帯感も醸成できる。
の二点が大きな特徴といえる。

 採用プロドットコムのアンケートから商社のセミナーに参加した学生の「良かった」と感じた理由を整理してみると、(1)については大手総合商社、(2)については(1)以外の総合商社のコミュニケーションだった場合がほとんど、ひとことで総合商社と括れない傾向としてあげておきたいと思う。

 新卒採用数を大きく削減した電機や自動車メーカーの採用活動についても触れておきたい。これらの業界は採用数減がマイナス要因にならないための対策のひとつであろうか、金融や商社に先駆けて3月中にリクルーター面接や選考試験を実施している企業が目立った。4月1日からゼロベースで選考に入るのではなく、筆記試験合格者に対する面接という具合に学生にプライオリティを感じさせるプロセスを構築していたようだ。

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