米国の雇用拡大に向け、不良資産の購入が必要だ--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授


 失業率はまるでロケットのように急上昇している。その理由は、通常なら生産を拡大し雇用を増やしているはずの企業が、生産を縮小し従業員の採用をストップしているから、そして、従業員を削減している企業が、通常以上に急激な雇用調整を行っているからである。本来なら生産を拡大し雇用を増やしているはずの企業にそれができないのは、金融資産価格の下落で適切な条件で資金を借り入れたり、債券を発行することができなくなっているからである。

こうした状況に対応するため、中央銀行は国債を購入して、資産価格を引き上げるのに必要な資金を市場に供給すべきである。国債価格が上昇すれば、債券の需要は抵当証券や社債にも向かい、資産価格を押し上げることになる。国債価格が上昇しても、人々が消費を増やし、それによって失業者が職を得るという期待が持てるまで、中央銀行は国債を買い続けるべきである。

政府も巨額の財政赤字を厭うべきではない。第2次世界大戦中の米政府の軍事支出や1981年のレーガン政権の大幅減税による個人支出の増加、90年代末のシリコンバレーの旺盛な設備投資、2000年代の住宅投資はいずれも雇用を増やし、失業を減らす効果を発揮した。政府の歳出は好ましい場合もある。

また、政府は金融資産の価値を高めるために追加的な措置を講じるべきである。それによって企業は妥当な条件で容易に資金調達ができるようになり、事業を拡大し、雇用を増やすことになるだろう。

約4650億ドルの政府資金と350億ドルの民間資金を組み合わせて不良資産を購入するというガイトナー財務長官のプランのポイントは、まさにここにある。財務省は民間部門に350億ドルの出資を求め、合計で5000億ドルのファンドを設定することで、民間部門のファンドマネジャーは“リスクを負う当事者”になる。そうなればファンドマネジャーは、税金を過剰なリスクにさらすようなことはしないだろう。

ガイトナー・プランの本当の狙いは雇用対策

民間部門の投資家は350億ドル以上の資金を進んで拠出すべきである。なぜなら、金融資産の現在の価値が正常な価値まで上昇すれば、利益を得ることができるからだ。

もしファンドの運用が好調(不良資産の利回りが市場平均並みに低下)なら、インカムゲインとキャピタルゲインを合わせた今後5年間の投資収益率は年9%程度になるだろう。

もしファンドの運用成績が少々悪い(不良資産の利回りが年10%程度)としても、ファンドの投資収益率は年4%程度はあるはずだ。ただ、ファンドの運用成績がかなり悪いと、投資家は投資額の7割を失うこともあるだろう。

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