IT教育に懸ける、小さな公立小学校の挑戦 多摩市立愛和小学校はここまでやる!

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――子どもたちがこれからの世界を生きていくためにという観点で、伝えたいことはありますか。

2045年にAIが人間の知能を追い越すと言われています。その時に何が必要になるか。小学校の時に身に付けておくべき力は、起業と協働の精神です。子どもたちが高校生になった時に、海外留学や起業ができるマインドを小学生の段階でモチベーションとして高めてあげたいと考えています。

いろいろな国の人たちとのコミュニケーションに役立つ

学校と地域の連携のひとつとして、校内にカフェを設けた。毎週木曜日にオープンし、学校の保護者や近隣住民との交流の場になっている。

これからは、多様な歴史、文化、宗教を背景にした人たちと絶対にかかわらざるをえなくなります。そういった人たちとコラボレーションする際に、自分はこう考えるという意見があったり、それを表現できる力の土台を小学生のうちに身に付けられればと思っています。その時に、ICTは有効です。

アナログの時代では、前に出て発表する時に画用紙に書かれた色鉛筆はよく見えないし、準備に時間がかかります。タブレットなら、細部まで綺麗に見えて時間もかからない。かつ、修正も簡単にできます。また、ICTが入ることで学校の先生だけではわからないことも出てきて、企業やNPOとかかわらざるを得ない環境になりつつあります。そのような環境になることで、教員のマインドも変えられるのではないでしょうか。

公立学校は予算も限られていることもあり、特色ある学校づくりが難しい側面もありますが、社外との連携を工夫することで、子どもたちにとっても教員たちにとっても楽しくかつ有益なことはできると考えています。

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校内のICT導入に取り組む一方、松田校長は地域との連携のひとつとして2014年9月より校内にカフェを設けた。同校のある多摩地区は超高齢化地域で、数年すると90歳以上の高齢者の割合が全国でもトップクラスになるという。学校を地域活性化の拠点としたいということで始めたそうだ。松田校長の「新しい公立学校のモデルの在り方」への挑戦は続く。

(撮影 : 尾形文繁)

 

※同校では、3月12日(土)に「i和design-Final Presentation(その到達点と未来)」という公開授業を実施予定です。詳細はこちら

 

 

 

小宮山 利恵子 リクルート次世代教育研究院 院長

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こみやま りえこ / Rieko Komiyama

1977年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。株式会社ベネッセコーポレーション等を経て、「受験サプリ」「勉強サプリ」等を展開する株式会社リクルートマーケティングパートナーズに入社。

財団法人International Women's Club JapanにてSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育推進委員長を務める。全国の学校等で情報モラル啓発講演を実施した経験がある他、IT教育を中心に国内外問わず幅広く取材活動を行っている。Wall Street Journal主催のIT教育に関するシンポジウム等にも登壇。超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。東洋経済オンラインにてIT教育の連載を持つ(2014年11月~)

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