「繰延税金資産が過大な会社」には要注意! 株主持分に対する割合では、ランキング1位ヤマノHLD、2位OMCカード

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2009年3月期決算の本格化を控えて、繰延税金資産が注目を集めている。

08年後半からの世界的な景気急悪化を受け、企業業績の低迷が長期化するとの見通しが支配的となっており、企業各社は足元の収益計画の見直しの一方、将来収益を見込んで資産計上していた繰延税金資産を取り崩さなければならない事態が想定されるからだ。

繰延税金資産の取り崩しは最終利益に対して減益要因となり、ただでさえ悪い業績の足をさらに引っ張ることになる。

たとえば、総合電機大手の東芝は、4月17日の業績予想修正説明会で、表紙や注意書きを除く実質16ページの説明会資料のうち、2ページを繰延税金資産の説明に割いた。東芝の場合、前2009年3月期は、繰延税金資産が従来見通しよりも900億円減少し、最終赤字は1月に公表した2800億円から3500億円の赤字へと悪化する。同じような理由で業績見通しを引き下げる会社が今後増えそうだ。

「東洋経済オンライン」では緊急調査として、全上場企業のうち、株主持分に比較して繰延税金資産が高い上場企業をリストアップしてみた(「会社四季報」2009年春号のデータをもとに、全上場企業のうち、単体、連結の繰延税金資産や株主持分のデータがある会社が対象。直近本決算の単体、連結の税金資産比率のうち、高いほうで比較。繰延税金資産は貸借対照表計上額、繰延税金負債を控除した額ではない)。

これによると、株主持分よりも繰延税金資産が大きいのはヤマノHLDで、繰延税金資産/株主持分の比率(以下、「税金資産比率」)は129%。2位はOMCカードで109%。また、繰延税金資産が株主持分比率の過半に匹敵するのは12社で、ヤマノ、OMCの次はGMOネット、ミサワホーム、IBEHLD、古河電池、健康HLD、ソフトバンク、ワイズマン、オリコン、扶桑電通、文教堂GHLDの順となる。

なお、繰延税金資産が株主持分比率の3分の1以上を占めるのは52社で、4分の1以上が税金資産という企業が121社ある。

■繰延税金資産が株主持分に占める割合の大きい会社ランキング
・1~40位
・41~80位
・81~121位

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