不況なのに”危ない”会社が大幅減の怪、「継続企業の前提」開示の基準が緩和

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 ただ、厄介なのが決算短信上の表示。新基準が公布されるのは、決算発表シーズンになる可能性が高いのだ。例年4月上旬には決算発表が始まり、黄金週間前の4月最終週には電機など大手企業の決算発表ラッシュに突入する。このままでは09年3月期決算短信の適用ルールが新基準の公布前後で異なる事態になりかねない。「旧基準では『注記』の対象だった」と追記させ、金融庁が決めた基準緩和を東証が骨抜きにするなど許されるわけもなく、投資家保護との板挟みで対応に苦慮している。

金融庁がルール変更を急ぐ背景には、よほど切迫した事情がありそうだ。市場関係者の間では、昨年末に流れた「大型倒産説」との関係が指摘される。仕事納めで気の緩んだ12月28日夕方、霞が関を中心に「年明け早々、大手メーカーが倒産する」とのうわさが急浮上。経済官庁が銀行関係者やマスコミの携帯電話を片っ端から鳴らし、真偽の確認に走る騒動があった。

結果として“ガセネタ”だったが、その際に名指しされたのは東芝やNEC、IHIなどの名門企業だった。たとえば、東芝は昨年末時点の株主資本比率が11%台まで急減。今後の損失拡大次第では債務超過に転落しかねない。東芝に、企業としての継続に疑義があるとの「注記」が付いた場合の悪影響は……。そう考えると、付け焼き刃的なルール変更もやむをえないのかもしれない。
(オール投資編集部)

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