チャイナマネーが食指、中国のデベロッパー幹部が日本を視察《不動産危機》

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 だが、自分で使いたいという割に、一般的な中国人は日本の事情をほとんど知らない。そのため、新浪楽居のサイトでは、日本のニュースや日本社会の紹介にかなりのスペースが割かれている。まず日本を知ることで、日本の不動産への関心を高めてもらおうという考えだ。

今回のツアーもその延長線上にある。不動産のプロであるデベロッパーに日本の物件のレベルの高さを知ってもらうことが、今後、日中間で不動産ビジネスを活発化させるための重要なステップだからだ。

だが、視察団のメンバーも東京のタワーマンションのような高額物件には正直いって食指は動かなかったようだ。参加者からは「為替リスクもある。わざわざ海外で投資するからには、年率20%くらいの利回りはほしい」(杭州のデベロッパー幹部)といった、やや現実離れした声が聞かれた。

そんな彼らが色めき立ったのが、東京での日程を終えて北海道に渡ってからだ。今年、中国では、北海道を舞台にした正月映画『非誠勿擾(フェイチョンウーラオ)』(馮小剛監督)が大ヒットし、北海道観光が一大ブームとなっている。札幌で視察団へのレクチャーを引き受けたのは、道内不動産仲介大手、常口アトムの澁谷猛会長だ。

「台湾から北海道への観光客は年20万人以上に上る。人口2300万人の台湾の1%に相当する人が来ているのだから、いずれ中国からも大量の観光客が来る」

「香港や台湾からの投資は活発で、札幌に3~4戸のマンションを購入し、賃貸で運用している個人富裕層もいる。札幌なら安ければ300万円で中古マンションが買え、年30万円程度の家賃を得ることも可能だ」

澁谷会長の説明に、視察団メンバーたちは大いに興味を示し、税金の扱いなどを根掘り葉掘り聞いていったという。

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