個別最適の乱立に限界“クボタ標準”への集結を--益本康男・クボタ社長

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 さりとて、外国製の2~3倍の値段では現地の人も買いません。販売価格を引き下げても、採算に見合うような機械をつくる努力をしています。現地生産の拡大もその一環です。タイではトラクター工場が本格稼働しました。中国も輸出を中心に展開していましたが、蘇州にコンバイン工場を造りました。トラクターも現在は日本からの輸出ですが、中国での販売が伸びれば、現地で組み立てていく計画です。その時期はそう遠くないでしょう。

--トラクターなど内燃機関事業が売り上げの7割を占めています。「一本足経営」脱却の施策は。

今後も内燃機関事業が主柱であることは変わりませんし、この部門をより強固にしていく方針ですが、今のうちに次の部門を育てなくてはいけません。「一本足打法」では、やはり限界があります。

そのため環境事業では、排水ビジネスを強化しています。海外向けに「液中膜システム」(膜で排水を浄化し工場用水に利用する装置)を拡販しています。これまで排水エンジニアリングは官需という“ぬるま湯”に浸かっていて、海外展開する必要性をまったく見いださなかった。しかし、今や官需は減少傾向で、海外拡販のプロジェクトチームを新たに設置しました。

現在、10人ぐらいのセールスエンジニアが中国やマレーシア、シンガポールなどで営業しています。ここに来て排水処理システムの入札案件がぼちぼち出てきました。環境事業は現在赤字ですが、中国などアジアを重点的に深耕することで10年3月期の黒字化を目指しています。

--早々に組織改革を断行しました。執行役員制を導入した意図は。

これまでは議論の場が意外となかった。取締役会は意思決定の決議機関で、事業部を超えた議論ができなかった。それぞれの案件が取締役会で決議されたら「はい、解散」となっていたのです。そのため、クボタは各事業部がものすごく強かった。要するに、これまで事業部ごとの個別最適で見ておったわけです。

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