鉛筆が1本あれば、素敵な笑顔を生み出せる SMAP会見で改めて感じた「笑顔」のパワー

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人は誰かにほほ笑まれると、幸せな気分になれる。赤ちゃんの無邪気な笑顔、店員さんの明るい笑顔、大切な人の屈託のない笑顔を見て、心がホッコリ、うれしくなったことはないだろうか。これは「笑顔は伝染する」からだ。

スウェーデンの研究によると、人の笑顔の写真を見せながら、被験者に「しかめっ面をして下さい」という指示を出したところ、大多数がほほ笑んでしまったという。何の邪気もない赤ちゃんも、実は意図的に「笑顔」をコントロールしているという研究もある。

昨年9月に発表されたカリフォルニア大学サンディエゴ校の調査では、笑顔を見せている赤ちゃんは一緒にいる人から笑い返してもらうために笑顔を見せるのだという。そのために、笑顔を見せるタイミングまで見計らっているそうだ。ノースダコタ州立大学の実験では、誰かにほほ笑みかけられた人の約半数が笑顔になった、という。

あなたが誰かにほほ笑みかけることで、相手の脳にも「お返しをしよう」とする反応が生まれ、双方の気分が高揚する「共生関係」が出来ていく。確かにアメリカでは、知らない人に対しても素敵な笑顔を見せる人がとても多い。そんな時は、こちらもにっこりほほ笑み返したくなる。一方、日本では、あまり知らない人にほほ笑みかける習慣はないし、「げっ、キモ」と怪しがられてしまう可能性もある。とはいえ、接客や友人間、ビジネスなど多くの場面で、この笑顔の伝染効果は、信頼の獲得や共感形成に大いに活用できるはずだ。

「笑顔を作ることが、気分を高揚させる」

もう一つの効果が本人自身に対するインターナル(内部)効果だ。かの有名な生物学者チャールズ・ダーウィンはこう言っている。「気分が良いから笑顔になるのではなく、笑顔を作るという行為そのものが気分を高揚させる」。笑顔は感情の「結果」だけではなく「原因」でもある、ということだ。つまり、楽しい、うれしいから笑顔になるだけではなく、笑顔になることで、楽しくなったり、喜びを感じる。楽しい→笑う→もっと楽しくなる、というループ効果、フィードバック効果がある、ということがダーウィン以降、多くの学者によって実証されている。

そのダーウィンが人の表情の研究をした際に、参考にしたのが、19世紀半ばのフランスの神経学者、ギョーム・デュシエンヌだ。デュシエンヌは被験者の顔に電気ショックなどを与えて、表情と感情の相関関係を調査、笑顔には2種類ある、と結論づけた。口角を上げ、主に口回りの筋肉だけを使う笑顔と、口回りだけではなく、ほほ骨から目元にかけての筋肉も使った笑顔だ。デュシエンヌはこの後者の笑顔こそが最も純粋な喜びの表情であるとし、こちらこそが「至高の笑顔」と論じた。その後、この笑顔はデュシエンヌスマイルと呼ばれ、多くの学者がこの説を科学的に証明してみせた。

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