前期減額でも強気姿勢崩さぬ資生堂、海外事業強化へ新製品投入へ

前期減額でも強気姿勢崩さぬ資生堂、海外事業強化へ新製品投入へ

強気の戦略は吉とでるか--。

資生堂は7日、海外を中心に販売する「SHISEIDO」から、高級スキンケア製品を9月に発売すると発表した。同社は海外事業強化へ向け、今年1月に「SHISEIDO」ブランドを刷新、まずは口紅などメーキャップ製品を投入していた。

新たに投入する「フューチャーソリューション LX」は、クレンジングフォームや夜用クリームなど4点で、希望小売価格は5000円~3万円と高額。日本では10月から百貨店など30店で販売する一方、海外では70カ国・地域で9月より順次発売する予定だ。

「SHISEIDO」ブランドの刷新は、不況の嵐が吹き荒れる中でも海外戦略に変更なし、とする強気な資生堂の姿勢が現れているが、新製品でもその「強気ぶり」が見え隠れする。

今回のスキンケアシリーズは、資生堂が得意とする「東洋医学や伝統と西洋の科学」を融合させた自信作だが、スキンケアに対して関心の高い日本ならともかく、海外でもこの価格帯が受け入れられるかどうかは未知数。確かに、海外では「SHISEIDO」ブランドに対する一種の“信仰”的なものはあるものの、この経済状況下に加え円高では、すでに高級品としてのブランドを確立しているライバルとの競争は相当厳しいだろう。
 
 もっとも、こと化粧品に関して言えば、高級品は不況下でも底堅く推移している側面もあるほか、「どこの国・地域でもこうした価格帯の化粧品を購入できる人たちは増えてきている」(前田新造社長)。海外では今後は、美容部員の強化を急ぎ、カウンセリング重視型サービスで顧客拡大を目指す。

「不況に強い」とされてきた化粧品だが、年明け以降は不況の影響から苦戦が続いている。資生堂も、3月末に前2009年3月期業績見通しを下方修正。前期営業益はすでに減額済みの従来計画よりさらに90億円少ない480億円にとどまった見込みだ。特に、国内化粧品の不振が著しく、資生堂は第3四半期(08年10~12月期)は業界平均以上に苦戦したうえ、1月に主力の「マキアージュ」を刷新した効果もむなしく、年明け以降も状況は好転しなかったようだ。

一方、海外事業に関しては、円高などの影響があるものの、中国を中心に底堅く推移している。資生堂は、国内は成熟市場なだけに大きな成長は見込めないため、徐々に海外の売上高を増やしていく方針を明確にしており、今回の発表もその流れの一環だ。ただ、世界同時不況のさなかとあって、計画以上に厳しい船出になっていることは間違いない。
 
 不況下で、消費者の指向は全般に安売りに流れている一方、効能や品質に対する審美眼も鍛えられており、いいものについては出費をいとわないという傾向もある。資生堂が高級路線を狙うのは至極当然だ。また、長期的に考えれば、いくら目先が厳しくても海外事業の拡大は必至。単なる強気で終わらないためにも、美容部員の精鋭化だけでなく、マーケティング活動など、海外で一層ブランドを強化するための具体的な施策が必要となるだろう。

なお、「東洋経済オンライン」予想は、前期を会社修正値に合わせ、今期を下表のとおりとする。
 
(倉沢 美左)



《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2008.03  723,484 63,465 65,088 35,459
連本2009.03予 690,000 48,000 49,000 21,000
連本2010.03予 680,000 49,000 50,000 29,000
連中2008.09  359,388 33,878 36,322 20,088
連中2009.09予 336,000 23,500 24,500 14,500
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2008.03  86.1 34 
連本2009.03予 51.9 50 
連本2010.03予 71.7 50 
連中2008.09  49.7 25 
連中2009.09予 35.9 25 

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