頭が片づく!人気コピーライターの「メモ術」 アイデアを生む人の「思考の整理」

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ちなみに、ベストセラー作家の伊坂幸太郎さんも小説を書く前には必ずこの「矢印メモ」で情報をまとめるそうです。「伊坂流すごいメモ術」について聞いた対談は、拙著『すごいメモ。』の巻末に収録していますのでぜひご覧ください。

脳が理解しやすい記号を駆使

「○」「←」のほかにも、いくつかの「記号」を上手に使い分けると、メモはぐっと使い勝手がよくなります。文字で書くよりも記号の方がずっとラクでスピーディーですし、脳は文字だけでの説明よりも視覚的な記号のほうが理解しやすいのです。メモを書いているときや見返しているときにパパッと記号をつけておけば、情報を処理するスピードは格段にアップするでしょう。

使いやすければどんな記号でも構いません。大事なのは、難しく考えず、思いついたことを記号で残しておくことです。参考までに、私が使っている5つの記号を紹介します。

VS……「これとこれは競合するものだぞ」
?……「この部分はわからないから答えを探そう」
○×……「この方向は正しい。この方向は間違い」
☆……「これは重要だから重点的に考えよう」
⇔……「これとこれは、対比して考えよう」

 

「VS」は対抗概念や競合情報などを書き入れるときの記号。たとえば、音楽CDを売るアイデアを考えるメモでは「VS YouTube」や、「VS 違法ダウンロード」と書くことで、別のインターネット・サービスや社会問題すらも競合として意識できるようになります。

「?」はもちろん疑問に思った箇所に。「○×」は、思い込みで間違いの事項に「×」、発見した正しい事項に「○」というふうにセットで使います。

そして「☆」は、テクニック①でご紹介した3つの「○」よりさらに重要な情報に。これもあまり多すぎるとよけいに混乱を生みますので、ここぞというときに使います。「⇔」は、たとえば、レジャーは「海派⇔山派」というように、何かと何かを比較して考えるときに使っています。

以上が、「まとメモ」の基本的な3つのテクニックです。みなさんの参考になれば幸いです。

最終回では、企画書や資料が決定的に伝わりやすくなる「つたメモ」についてお伝えたいと思います。

(構成:山岸美夕紀)

小西 利行 コピーライター

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こにし としゆき

POOL inc.代表/コピーライター/クリエイティブ・ディレクター/劇作家/絵本作家。1968年生まれ。京都府出身。大阪大学卒業後、1993年に株式会社博報堂入社。2006年に独立し、POOL inc.を設立。「伝わる言葉」を掲げ、CM制作から商品開発、都市開発までを手がける。主な仕事に、サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」、TOYOTA「もっとよくしよう」、ライザップ、PlayStation4「できないことが、できるって、最高だ」キャンペーンなど。また新商品開発にも多数携わり、ハウス「こくまろカレー」や「伊右衛門」、ザ・プレミアム・モルツ「マスターズドリーム」、ロート製薬「SUGAO」などのヒット商品を量産。数々の店舗、商業ビルなどのプロデュースも行ない、2008年「イオンレイクタウン」のクリエイティブ・ディレクションで、国際SC協会世界大会にて日本初となる「サステナブルデザインアワード」最高賞を受賞。「一風堂」国内&世界戦略プロデュース、吉野家、バーニーズ・ニューヨークなどのブランディングを手がけている。CLIO、ONE SHOWなどの海外広告賞を多数受賞。著書に、『伝わっているか?』(宣伝会議)、『すごいメモ。』(かんき出版)がある。

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