『ビッグイシュー』が目指すもの、ホームレス支援にビジネスで挑む

『ビッグイシュー』が目指すもの、ホームレス支援にビジネスで挑む

駅前などの路上で、著名アーティストが表紙を飾る雑誌を高く掲げて売るホームレス風の人。東京、大阪では見たことのある人も多いだろう。雑誌の名は『ビッグイシュー(BI)』。月2回発行、定価は300円で書店では売っていない。表紙には「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」とある。

気になってはいるが、買ったことはない、買うにはやや勇気がいると感じる人もいそうな、このBIの仕組みを紹介しよう。まず、版元が最初の10冊をホームレスである販売員に無料提供、完売すれば3000円まるまる彼らの利益だ。これを元手に11冊目からは1冊140円で仕入れ、160円が利益となる。販売員はいわゆるホームレスか、自分の住まいを持たない人に限る。販売時はIDカードを掲示、通行を妨害しないなどの行動規範を順守したうえで、決められた時間・場所で売る。

現在、販売員は全国12都道府県に約130人。その85%が東京と大阪に集中する。1人1日平均25冊程度売るという。25冊売れれば簡易宿泊所に寝泊まりでき、路上生活から脱出できる。さらに10冊販売部数を伸ばせば、半年でアパートの敷金ができる。住所を得れば新たな就職活動が可能になる。この雑誌の目的はホームレスの人の救済ではなく、仕事を提供し自立を支援することにある。

BIはもともと、1991年に英国・ロンドンでスタートしたビジネスモデルだ。ホームレスに路上販売を委託するストリートペーパーはそれまでもあったが、これをベースに社会企業家のゴードン・ロディック氏とジョン・バード氏が制作面で大幅な改良を行い、現在のスタイルができる。英国では、著名アーティストが「BIなら取材を受けてもいい」というまでのステータス雑誌に成長した。現在、世界8カ国で発行する。

日本での創刊は2003年、最新号で116号目を数える。現在の実売部数は約3万部。5年間で販売員が稼いだ総額は3億2200万円に上る。これまでに約800人が販売員登録を行い、うち1割の79人が新しい仕事を得て“卒業”した。卒業率は決して高くはないが、多くはアパート入居を目指し準備中という。

販売員はビジネスパートナー

ところで、この雑誌を発行・販売しているビッグイシュー日本は、社会福祉法人でもNPO法人でもない有限会社。れっきとした営利企業なのである。しかも、07年には黒字化を達成、この出版不況下で部数をわずかながらも伸ばしている。

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