幸せのトレーニングで人生は変えられる! おカネを幸せの尺度にするのは卒業しよう

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井上:そういう意味では、従来型の説法は時代とともになかなか皆さんに届きにくくなってきているので、ハピネストレーニングのようなワークショップが必要なのではないかと思っています。共感・慈悲のトレーニングでは、瞑想などのワークで愛情のすばらしさも体験していただきます。

男性はもっと「感謝」を意識すると幸せに近づく

前野隆司(まえのたかし) 1962年山口県生まれ。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、キヤノン入社。カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年より現職。『幸せのメカニズム―実践・幸福学入門』『脳はなぜ「心」を作ったか』など著著多数(撮影:梅谷秀司)

前野:私のワークショップへの参加者はどちらかというと女性の方が多いのですが、それは「幸せ」という言葉への抵抗感が、女性の方が低いからのような気がします。

井上:われわれのハピトレも8割女性ですね。

前野:日本は男女の幸せ差が大きい国です。国際比較しても、男女の幸せ差が世界でもトップクラスに大きい。米国はだいたい同じくらいです。男性は「つながり」が苦手なようで、ワークショップの開始前に観察していると、女性はすぐに打ち解けていますが、男性はスマホをいじっていたりします。

井上:そこですでに「つながりと感謝(ありがとう!)の因子」の強さに差が出ていますね。

前野:男は戦うDNAを持っていますから、短期的な幸せを求めるのかもしれません。女性は子どもを育てるなど、長期的な幸せを求められる。だから男性はあえて「感謝」を意識したり、女性的な感性を持ってみることが、幸せを感じるために重要なのではないかと思います。

井上:心的両性具有ですね。これはいい言葉なんです。男性は女性の心を目指し、女性は男性の心を目指す。イクメンなんて、いいと思います。

幸せの研究をしてどう変わったか

前野:この研究を始めてから、幸せそのものの研究よりも「幸せを広めること」を研究したいと思うようになりました。「幸せについて解明したんですよ」「基本構造がわかりましたよ」と人に伝えるよりも「私はみんなを幸せにするために、この研究結果を使いたい」と言うようになった。私の心が変わったんですね。そうしたら、急に変化が起きました。すごい数の人と会うようになり、めったにお会いできないような人とお目にかかる機会も増えたり。この変化には自分でも驚いています。今、幸せだと思いますよ(笑)

井上:私も、全国ネットの『ぶっちゃけ寺』に出させていただき、おかげさまで、多少知名度も上がりましたが、実は嬉しいと感じることはそれほどなく、子どもや檀家さんがテレビを見て、喜んでくれている姿を見ることに望外の喜びを感じました。わが身にしみて嬉しかった。他者が嬉しそうなことが幸せなんですね。ハピネストレーニングを作った清水ハン栄治さんも、もともとはエリートサラリーマンでたくさんの富も手にしましたが、幸せについて疑問を持ち、会社員を辞めて旅に出て、幸せについて考えたんです。

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