人生には、やっぱり恋愛映画が欠かせない 劇的な展開でなくても「うっとり」する

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『ミッドナイト・イン・パリ』

『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年/スペイン・アメリカ/94分)

2012年アカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞した、ノスタルジックでロマンあふれるラブコメ。ウディ・アレン監督は「パリの真夜中」というタイトルをひらめき、そこからイマジネーションを膨らませて脚本を執筆したという。

ハリウッドの売れっ子脚本家で、作家志望のギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者のイネズ(レイチェル・マクアダムス)とその裕福な両親とともにパリを訪れる。

処女作を執筆中のギルは、ある日の真夜中酔って道に迷っていると、クラシック・カーに乗せられパーティーへと誘われる。そこはなんと、コール・ポーターがピアノで弾き語りをし、フィッツジェラルド(『華麗なるギャツビー』!)とその妻ゼルダが参加するジャン・コクトー主催の社交クラブだった!

夢か幻か、はたまた異界なのか? そこはギルが憧れる1920年代の芸術花開くパリ。真夜中0時を告げる鐘の音に導かれて迷い込むたびに、尊敬するヘミングウェイ(当時パリに住んでいた)他、ピカソ、ダリ、ロートレック、ゴーギャン、ルイス・ブニュエル、マン・レイ等、芸術界の偉人キャラが続々登場して彼を虜にしていくのだった! そしてギルはピカソの愛人アドリアナに恋してしまう……。

本作の傾向上、登場する偉人たちの知識(または興味)があるかないかで、楽しめる度合が大きく変わる。たとえばギルは若かりしブニュエルに映画のアイデアを話すが、そのネタがブニュエルの有名な不条理サスペンス劇『皆殺しの天使』(1962年)だったりする。このギャグで笑えるかどうかは知識次第というワケだ。そしてむろん数々の美しき名所も登場し、(ぼくのような)パリ好きの胸をときめかせてくれるのだ。

(文:たかみひろし/音楽・映像プロデューサー、『モノ・マガジン』2014年11月16日号掲載記事を一部加筆・修正)

モノ・マガジン編集部

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