「きれいなCA」というだけでは婚活に勝てない 東京の「婚活事情」最前線<3>

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26歳のとき合コンで出会った同い年の裕貴との関係は、ほとんど奈緒美の一目惚れから始まった。裕貴は外資系コンサルティング会社に勤めるエリートで、男にしては色素の薄い美しい肌と髪色が人目を引く、アイドルのような顔をした男だった。そのうえ実家は港区の資産家、国立大学まで出ている。

奈緒美は一目彼を見たときから、この男と結婚したら自分の人生は完璧なものになると確信した。

職業も育ちも、堂々とした振る舞いも甘い笑顔も、すべてが魅力的だった。この男と適齢期で結婚し、さらに自分のブランド力を高めたかった。奈緒美の次の目的は、自然と結婚に向いていた。

奈緒美は当時学生時代から腐れ縁が続いていた同級生の恋人にすぐに別れを告げ、幹事の友人に裕貴との仲を取り持ってもらった。

「あの人と結婚したら、また皆が私をうらやましがると思ったの。」

何度か夜を共にしたが、明確な言葉はない彼

しかし、裕貴は結婚相手どころか、正式な彼女とも呼べないポジションに奈緒美を置いた。初めの数ヶ月はそれでも週に何度か会い夜を共にし、明確な言葉はないまでも奈緒美は裕貴を独占した気になっていた。仕事の忙しい彼がそれだけ時間を作るには、それなりの気持ちがあるはずだ。

奈緒美は当初、時々彼と連絡がまったく取れなくなること、お互いの友人や同僚に紹介を躊躇うことなど現実から目をそらし、2人の関係を前向きに見ようとしていた。

そんな中、同じ合コンに参加した友人の1人が、裕貴がモデル風の美人と彼の自宅近くの白金のカフェで仲睦まじい様子でいるのを目撃した。客観的に見ればごくわかりやすい展開ではあるが、奈緒美には自分にそんな低レベルなうわさが舞い込むなど信じられなかった。

「嫉妬って、女を狂わせるよね。あの頃、友達もみんな私を心配してくれてたのに、まったく耳に入らなかった。」

怒り悲しむ奈緒美に裕貴は、「君のことは好きだけど付き合っているわけではないし、今は仕事に専念したい時期だからほかの誰とも付き合う気はない」と答えた。男にとって都合のよい月並みのセリフだが、何かが狂い始めた奈緒美には冷静にその言葉を判断することはできない。

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