テスラとスバルのアイサイトは何が違うのか 完全自動運転を見据えた最新鋭技術の完成度

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オートパーキングの様子

夢の島マリーナに戻った後、オートパークを試した。

縦列駐車の空きを見つけるとメーターにPの表示が現れるので、停止してPレンジに切り替え、センターのディスプレーに出る自動駐車のボタンをタッチすると、以降はアクセル、ブレーキ、ステアリングをすべて自動で行う。一発できれいに収まらない場合は切り返しも自動で行う。その場合も前後進を切り替える必要はない。

前日に試したトヨタ新型プリウスのパーキングアシストは、ボタンひとつでスタートすることは同等だったが、アクセルやブレーキはドライバーが操作した。それより一歩進んでいる。モデルSは全長4978mm、全幅1964mmという巨大なサイズを持つので、この機能はありがたい。

人工知能主体で運転する「レベル3」に近づいている

テスラの自動運転技術は、渋滞時の車線変更など対応しきれていない部分もあるが、人工知能主体で運転する「レベル3」に近づいていると感じた。さらにソフトウエアのアップデートで機能を追加していくという、パソコンやスマートフォンに近い手法は、最新の安全装備が欲しければ車両を買い替える必要がある既存の車より、ユーザー寄りであると思った。

それとともに感じたのは米国らしさだ。自動運転中の責任はドライバーが負うという自己責任の姿勢を明確にしたうえで、国交相の承認を受けたというプロセスは、政府の方針に従うという姿勢が目立つ国内の自動車会社とは一線を画している。

米国はこれまでも日本の交通法規の変更を実現してきた。2005年から高速道路での2輪車2人乗りが認可されたのは、ハーレー・ダビッドソンを擁する米国が規制緩和を訴えた結果である。今回はテスラが国交省との間で交渉を続けた成果というが、持ち前のフロンティアスピリットがわが国のモビリティの未来を切り拓く可能性を秘めていることは間違いなさそうだ。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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