日本の鉄道業界 JR各社は安定需要と予測できる規制環境により、見通しは安定的 《ムーディーズの業界分析》


コーポレート・ファイナンスグループ
VP−シニア・アナリスト 廣瀬 和貞

JR(旧日本国有鉄道)各社の業界の見通しは安定的である。この見通しは、今後12~18カ月間のこの業界の基本的な信用状況に対するムーディーズの予想である。


ムーディーズが格付けを付与しているJRおよびその関連の会社(東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、関西高速鉄道株式会社)を取り巻く事業環境は、安定した旅客需要と予測可能な規制環境により、安定的である。


ムーディーズの格付け対象のJR各社は、旅客輸送事業を行っており、経済環境の変化による大きな影響を受けにくい。また、JR各社の継続的な経営努力が近年の堅調な鉄道旅客需要に繋がっている。


規制環境は安定しており、予測可能性が極めて高い。格付け対象のJR各社は、日本の輸送システムの中核を成す事業者として、経済効果と公共輸送サービス双方の点で、日本の運輸政策において重要な役割を果たしている。


格付け対象各社は返済が必要な債務を相当額抱えている。しかし、JR東日本は鉄道事業ならびに非鉄道事業からの安定したキャッシュフローにより、2008年9月にAa2からAa1に格付けが引き上げられた。


ムーディーズの格付け対象(2009年4月時点)

会社名 格付け 見通し
東日本旅客鉄道(JR東日本) Aa1 安定的
東海旅客鉄道(JR東海) Aa2 安定的
関西高速鉄道(関西高速鉄道) Aa2 安定的


概要

JRおよびその関連の会社に対するムーディーズの格付けは、各発行体の安定したキャッシュフロー、サービス提供地域の強さ、国家の運輸政策における重要性、および良好な規制環境を反映している。格付けはまた、各発行体が抱える債務返済額の大きさも反映している。


日本政府はこれらJR各社に安定して予測可能性の高い規制環境を提供してきた。格付け対象のJR各社は日本の輸送システムの中核の事業者として、経済効果と公共輸送サービスの双方の点で、日本の輸送政策において重要な役割を果たしている。


格付け対象の3社は本州を拠点としており、そのサービス提供地域には、関東圏、関西圏、中京圏の日本の三大経済圏が含まれる。各社の鉄道事業は、人口動態の要因に起因する長期的な構造的制約に左右されるものの、ムーディーズは各社がキャッシュフローを引き続き高めていくと考えている。


JR 東日本のサービス提供地域は、同社の旅客運輸収入の約半分を生み出す東京圏を含む、日本の人口とGDP の約半分を占める地域である。東京圏の重要性と相対的な経済力の強さは、引き続きJR 東日本の手堅い事業基盤となるであろう。


JR 東海の中核事業は、連結売上高の約70% を占める東海道新幹線事業である。東海道新幹線は、日本の三大経済圏である東京、大阪、名古屋を結び、国内旅客運輸の中枢的な役割を果たしている。新幹線ネットワークは、日本全体の輸送ネットワークに関する政策に基づいて整備・運営されており、国家経済にとって重要性が高い。他の輸送モードに対して高い競争力を保持していること、営業地域において安定した旅客需要が存在すること、同社が旅客サービス内容の向上を推進していることなどを背景として、新幹線事業は良好な実績を挙げており、同事業に対する競争上のリスク要因は限定的である。


関西高速鉄道は、同社の株式の約24% を所有するJR 西日本の関連会社であり、JR 東西線の鉄道施設を保有し、これを30 年間の協定に基づいてJR 西日本に貸し付けている。JR 西日本が借り受けた施設に関する維持および設備投資を自らの負担で行い、関西高速鉄道は追加的な資金を必要としない仕組みになっている。JR 西日本は、全国新幹線ネットワークの一部、関西中心部における都市鉄道ネットワーク、および西日本地域の地方路線網を運営している。


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