ローソン、絶好調の業績によぎる一抹の不安 「成城石井」は好調でも、コンビニ事業は減益

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ローソンは昨年10月に発表した、今2016年2月期の通期見通しを据え置いた。現在の営業総収入5790億円(前期比16.3%増)、営業利益710億円(同0.3%増)という予想は十分に射程圏と言える。

とはいえ、来2017年2月期に向けて課題も残る。何よりもコンビニ中堅のスリーエフとの資本業務提携契約の早期締結ができるが、焦点となる。

従来は2015年12月下旬をメドに提携の契約を結ぶ予定だったが、協議が難航しており締結は延期されている。

業績悪化の一途をたどるスリーエフにとって、ローソンとの提携は会社の生き残りを考える上で、重要なプロセスにほかならない。

ファミマ・サークルK連合にどう立ち向かうのか

玉塚元一・社長はどうやって業界再編の荒波を乗り切るのか(2015年3月、撮影:今井康一)

他方、ローソンにとっても神奈川を地盤とするスリーエフとの提携で関東圏における手薄な店舗網を補完できるメリットが大きい。延期されたとはいえ、できるだけ早期に契約締結できるかは両社にとって重要な意味合いを持つ。

もう一つの課題が業界再編への対抗策だ。業界3位のファミリーマートと同4位のサークルKサンクスや総合スーパーを抱えるユニーグループ・ホールディングスは2016年9月の経営統合で合意しており、店舗数では首位セブン-イレブン・ジャパンに匹敵。現在2位のローソンは店舗数で軽く追い抜かれてしまう。

ローソンはスリーエフだけではなく、広島を地盤とするポプラなど中堅勢力と緩やかな提携を拡大してきた。いずれも経営の独立性や看板維持を条件に、原材料の共同仕入れや商品開発を行うというものだ。

だが、ブランドを統一しないと、商品や広告宣伝も別々でスケールメリットを発揮しにくい。ファミマが改革のスピードを高めれば、ローソンも一段と踏み込んだ対抗策を講じる必要が出てくる。

ローソンは成城石井やユナイテッド・シネマのような本業周辺のM&Aを成功させてきた。減益に沈んだコンビニ事業を盛り返し、成長戦略を描くことができるのか。ひとえには、両者のシナジーをどこまで発揮できるかにかかっている。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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