《私のNPO血風録》(言論編・第三話)政治の失敗−マニフェスト

工藤泰志

 2009年、経済危機の影響は世界に広がり、アメリカのオバマ大統領のもとでの対応に世界経済の命運がかかっている。歴史的な経済危機の出口はまだ見えないが、明らかに世界は大きな変化の過程にある。
 ただ、私がこの年、言論NPOのウエブサイトで訴え続けているのは、こうした世界の変化よりも、むしろ、「日本の政治にこそ根本的な変化(チェンジ)が必要」ということである。
 日本ではこの数年、国民に政権の信を問うことなく、毎年、首相が交代している。
3年前から私はNPOの活動の一環として、政権の100日時点での評価を実施しているが、この年の1月に公開した「麻生政権の100日評価」は、これまでとは異質の傾向を示していた。
 この評価は、約400人の有識者がアンケートに応える形で行われた。驚いたのは11%という、100日時点での麻生政権のあまりにも低い支持率ではない。「日本の既存政党には期待できない」と考える層が半数近くにも広がっていたことだ。
 政権交代の期待は高まっているが、民主党の政策への支持が高まったわけではない。政権交代に賛成する人の7割は「政治の構造を変えるためには一度政権を変えるしかない」と回答し、全体の54.5%が今の日本の政治の現状を、「既存政党の限界が明確になり、政界再編や新しい政治に向かう過渡期」と答えている。
 つまり、多くの人が今の日本の政治に変化を求め始めている。この傾向はこれからも変わらないだろう。

 この十数年、日本の政治は一つの目的に向かって動いていた。二大政党が競い合い、政権交代が可能となる社会を実現する。それが、政治改革の目標である。
 だが、政権交代という政治改革の目的がまさに実現しようとする直前になって、はっきりしたのは今ある二つの政党では、この国の未来に向けた課題解決は難しいのではないか、ということである。
 経済危機に対する対応だけではない。急速に進む高齢化に伴う様々な政策課題で政策の競争がこの二つの政党間で行われているわけではない。むしろ、不祥事の発覚が相次ぎ、二つの政党に共通する古い政治の構造は政党の信頼自体を失わせている。
 一体、どこが間違ったのか。

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