日本型ワークシェア、7年ぶりの政労使合意、雇用維持策で再浮上 

日本型ワークシェア、7年ぶりの政労使合意、雇用維持策で再浮上 

雇用環境悪化の歯止めにつながるか。3月23日、政府と日本経済団体連合会(経団連)、日本労働組合総連合会(連合)などが、雇用安定・創出の取り組みで合意した。雇用に関する政労使での合意は、実に7年ぶりとなる。

今回、雇用維持やセーフティネットの拡充など五つの取り組みを打ち出した中には、「二つの柱」がある。

一つは「日本型ワークシェアリング」と銘打った雇用維持の推進。労働時間削減や休業などで人件費を抑制して雇用を維持する取り組みで、失業率が上昇する中で2002年に合意された「緊急対応型」のワークシェアリングと基本的に同じ。前回は景気回復に救われて普及に至らなかったが、景気悪化が続く今は待ったなし。政府が企業の賃金などを補助する雇用調整助成金(雇調金)を拡充し、実施を後押しする。

もう一つは、失業者に対する生活支援。現行制度においては、雇用保険に未加入だった失業者や失業給付の期限が切れた長期失業者などは、困窮するケースも目立った。今回は、職業訓練参加を前提として失業者へ生活費を支給。「雇用保険と生活保護との間をつなぐ第2の安全網」(連合・古賀伸明事務局長)と評され、早期の具現化が期待されている。

政労使の合意を待たず、企業の緊急対応は始めている。トヨタ自動車は英国など海外工場で、勤務時間と賃金の1割削減を予定する。国内では、08年度に7000億円もの最終赤字が見込まれる日立製作所が、4月から向こう1年間、1カ月当たり1日の無給休日を設定することで労使合意した。東芝も業績が低迷する半導体、液晶の両事業で勤務形態の見直しを図り、時間外勤務削減などに取り組む。これらは「日本型」と称した今回のワークシェアに相当する。

従来、雇調金に対しては、体力の乏しい企業の雇用を維持し、労働移動を妨げるとの批判的な見方が多かった。だが足元の雇用情勢が急激に悪化したことで制度の適用条件が緩和されており、むしろ積極的に雇調金を利用する企業が増えている。経団連・労政第一本部の高橋弘行本部長は「雇調金を使ったワークシェアが典型的な日本型」と話す。

非正規労働者も対象 実施拡大はどこまで

さらに、「非正規雇用について、着実に対応していこうと一歩踏み出したことは確か」(労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員)と言われるように、以前の合意には見られなかった注目すべき点もある。雇用維持の推進で、「正規・非正規労働者を問わず」と明記されたことだ。ワークシェアについての著書もある学習院大学の脇坂明教授は、緊急対応に当たって「パート・派遣・契約社員にも、正社員と遜色のない働きをしている人たちがいる。職場の現状を踏まえて、ワークシェアの適用範囲をどうするかを考えるべき」と語る。

今回の合意を受けて厚生労働省が創設する支援制度の原案には、非正規社員の解雇を回避した企業に1人当たり20万~45万円を支給するといった内容が盛り込まれている。だが連合内部の地方組織からは「組織拡大に直接つながらない非正規雇用への取り組みに、意味を見いだせない組合員が多い」との声も聞かれる。正規社員の枠を超えたワークシェアがどれだけ拡大するかはまだまだ未知数だ。

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