事後レポ

モノづくり大変革の全貌
全く新しいIoTのビジネスモデルが起こすイノベーションへの招待

あらゆるモノがネットワークにつながるIoTがもたらす、モノづくりの変革について検討する「イノベーションフォーラム2015」が2015年11月、東京・千代田区で開かれた。会場を埋めた約400人を前に、専門家らが、ビジネスモデルの変化に対する考えや、製造現場へのIoT導入事例について説明した。

主催:東洋経済新報社
特別協賛:日本マイクロソフト

【基調講演】IoTのビジネスモデル
「IoTという産業世界観・
産業歴史観を読み、ビジネスモデルを考える」

特定非営利活動法人
産学連携推進機構理事長
一橋大学大学院商学研究科
MBA客員教授
妹尾堅一郎

 産業連携推進機構の妹尾堅一郎氏は「イノベーションを議論するには、目先の技術より、産業世界観・歴史観を持って、流れを読むことが重要」と訴えた。ドイツはインダストリー4.0で第4の産業革命、米国の巨大企業はインダストリアルインターネットで産業革命とインターネット革命の融合という産業論を示した。そこでは、すべての機械は、駆動を精密化するアクチュエーター、頭脳系を外在化するコンピュータ、感覚系を外在化するセンサーをそろえたロボットになり、そのロボットのネットワーク化で神経系も外在化される。「その時、ロボットの制御系を押さえなければ主導権を握ることはできない」と指摘。ハードウエアの動作のバラつきはソフトウエアで吸収できるので「価値形成はソフトウエア側、さらにはデータとその分析側に移る」という見方を示した。モノとサービスの関係もサービス優位に移行する。航空機エンジンの稼働課金制を例に挙げ、「日本はどうするか、皆さんと考えたい」と訴えた。

【特別講演】IoT×アナリティクス
「M2MとCloudの融合で実現する
製造IoTの世界とは」

日本マイクロソフト
クラウド& エンタープライズビジネス本部
エグゼクティブ プロダクトマネージャー
大谷 健

日本マイクロソフト
エンタープライズサービス部門 ソリューション本部
プラットフォームソリューション
シニアコンサルタント
早川武志

 近年、クラウド事業に注力している日本マイクロソフトの大谷健氏は、経営者がIoTに期待することとして、「現場の生産性向上」「データを社内外で共有して新たな気付きを得ることによる売上最大化」「サービス化などビジネスモデル変革」の3点を挙げ、「IoTは経営者のためにあります」と訴えた。ビッグデータを扱うテクノロジーとして「信頼性と拡張性のあるクラウド」の意義を指摘。IoT導入の実証用に、遠隔監視、資産管理、予兆保全の三つの機能をまとめて提供する同社の「Azure IoT Suite」を紹介した。IoT導入に向けたコンサルティングを担当する早川武志氏は、IoTの利用場面として、製造工場、グローバル施設管理、顧客サイトなどを挙げた。導入の際は「何を解決し、管理用アプリケーションで何を見たいか、を決めれば、必要な分析、取得するデータも決まってきます」と強調。「一緒にIoT活用のシナリオ作りをお手伝いしたい」を呼びかけた。

【事例講演Ⅰ】IoT×コネクティビティー
「生産現場をクラウドでセキュアにつなぐ
Industry4.1Jの取組と課題」

NTTコミュニケーションズ
技術開発部
IoTクラウド戦略ユニット/ 経営企画部IoT推進室
担当部長
IoT・エバンジェリスト
境野 哲

 ウェアラブルセンサーで作業員の健康安全管理システムを建設会社と開発するなど、ネットワークインフラからのIoTへの取り組みで実績を重ねてきたNTTコミュニケーションズの境野哲氏は、IT人材がIT企業に偏在する実情を踏まえ、「一般企業がIoTに取り組むにはIT企業とのアライアンスが大事」と述べた。ドイツのインダストリー4.0については、「産業用通信規格の不統一や、工場などの制御システムへのサイバー攻撃のリスクといった課題がある」と指摘。セキュリティ問題を解決するため、同社では、IP─VPN回線を使ってインターネットを経由せず、安全にクラウドに接続する「インダストリー4.1J」を提案。この新たなICT基盤技術構想の実現に向け、協業パートナーを募集し、実証実験を進める。また、手軽にIoTを始められる同社のトライアルパックを紹介した境野氏は「先進企業はすでに取り組みを始めています。早くIoTの検討を始めるべきです」と訴えた。

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