日本郵船は巨額特損計上で最終利益大幅減、来期営業減益幅も拡大へ

日本郵船は巨額特損計上で最終利益大幅減、来期営業減益幅も拡大へ

日本郵船は今2009年3月期業績予想を26日に下方修正した。前回発表時点の1月30日の見通しよりも、欧州・北米・中南米航路のコンテナ船の荷動きや運賃が想定以上に下落した。バラ積み船の市況も想定したよりも回復していないことから、売上高を510億円減額、営業利益を195億円減額した。

             売上高     営業利益
 前回予想(1月30日) 2兆5000億円  1590億円 
 今回修正(3月26日) 2兆4490億円  1395億円 
  
 売上高で2%、営業利益で12.3%の減額なので、売上高と営業利益は東京証券取引所の修正ルールに抵触していない。今回、下方修正を発表した理由は、最終利益の減額。従来予想の730億円から140億円へと80.8%下方修正をした。以下、修正要因の特別損失を項目別に列挙する。

            特損額
 不採算船の期限前解約料 150億円
 投資有価証券評価損    80億円
 システム関連損失処理  147億円
 航空機減損       246億円
 NCAカルテル関連損   90億円
 その他         147億円
 計           860億円

「不採算船の期限前解約」はバラ積み船で数隻、コンテナ船で数隻。「システム関連損失処理」は、06年に世界共通システムを開発して08年に北米に導入したが、想定した保守費や運用費の抑制が見込めないために、残存分を一括償却することにした。「航空機減損」は航空貨物子会社、日本貨物航空(NCA)の経営環境が悪化したためにのれん代70億円を0円まで減損、NCAの航空機、土地、建物、ソフトウェアを時価まで減損した。「NCAカルテル関連損」は、06年2月に米国当局、同年12月に欧州委員会からNCAが調査を受けたカルテル疑惑。米国ではクラスアクション(集団訴訟)で損害賠償を請求されている。請求金額を特定しない訴訟だが、将来発生するであろう損失を今回90億円と見積もった。また特別利益として売船益200億円を計上する。

通常ならば(経常利益1360億円−特損860億円+特益200億円)=700億円に実効税率を加味して、最終利益は700億円×0.6=420億円となるところだが、NCA関連損が税法上損金として認められないために、最終利益は140億円と低水準にとどまる。

会社の営業益予想をもとに四半期ごとの推移を追うと1~3月の営業赤字幅が1月30日発表時点の124億円から319億円に拡大する。

     連結営業利益
 4~6月   582億円
 7~9月   766億円
 10~12月 366億円
 1~3月  ▲124億円→今回修正▲319億円

来10年3月期は、円高がこれ以上進まないと仮定、燃油価格下落による好影響が続くとしても、荷動きの減少によりコンテナ船や航空貨物子会社の赤字が通期で膨らむ可能性がある。バラ積み船が鉄鉱石輸送の若干の回復でやや持ち上がると仮定しても、コンテナ船や自動車船を取り巻く環境は厳しいと見て、「東洋経済オンライン」は、来期営業利益予想を従来予想からさらに200億円引き下げた。

周辺環境が厳しいのは同業大手の商船三井や川崎汽船も同じ。両社の収益への下押し圧力が強まっているのは間違いなさそうだ。
(山田 雄一郎)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2008.03  2,584,626 202,079 198,480 114,139
連本2009.03予 2,449,000 139,500 136,000 14,000
連本2010.03予 2,060,000 77,000 74,000 42,000
連中2008.09  1,419,874 134,829 139,833 91,274
連中2009.09予 800,000 30,000 35,000 20,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2008.03  92.9 24 
連本2009.03予 11.4 15 
連本2010.03予 34.2 8-11 
連中2008.09  74.3 13 
連中2009.09予 16.3 4-5 

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