「独立できます」と謳う求人に隠れた姑息な罠

労働者が社長になるとは一体どういうことか

舞い上がって口車に乗せられてはいけません(写真:bee / PIXTA)
あくどさとセコさがどんどん増して、知れば知るほど悲しくなる「求人サギ」の手口。今回は、「将来的に独立したい」という社員の気持ちを悪用した方法。しかしよくこんなワル知恵が働くものです……。
前回:あの人が「際限のない残業」を強いられた理由

 

■「社長になれる」――「独立できる」「出来高制」(自営業者)

机のシマごとに社長が!? そんな会社のやり口は…

次に、求人で「この会社に入れば社長になれる!」「すぐに独立ができる」「出来高払い制をとっています」などと、労働者の「独立したい」という自意識につけ込む手口だ。

ここで気をつけなければならないのは、独立をサポートするという体(てい)をとりながら、実際は従業員を分社化した会社の社長にすることで責任を押しつけ、業績が悪くなったらすぐに切るという企業が多々あるということだ。

誰もが知るIT系の大手新興企業X社の事例。この会社では同じように採用され働いていた労働者が次々と独立、分社化した会社の「社長」として任命されることになっている。そのため同じフロアの中であっても、机の固まりが違えば、手続き上はすべてバラバラの「独立した会社」になっているという奇妙な職場になっている。

実際にはそれぞれの「社長」に仕事をするうえでの裁量はほとんどなく、すべてX社からやることは決められているのだが、X社はそれぞれの「会社」の新社長となった者に対して「社長になったのだから自分の力で結果を出せ」とあおる。そして業績が悪くなればすぐにクビを切っていた。

というのも、労働法は、独立した「社長」には適用されないのだ。独立した企業の社長であれば、あくまでも親会社と「対等な関係」になるからだ。たとえば、自動車会社などの零細な下請け部品メーカーを思い浮かべてほしい。いくら自動車会社の力が強くても、町工場の「社長」は直接雇われているわけではないから、法律では町工場の社長を保護することができない。部品を普通の市場よりも安く買いたたかれても、契約をいきなり打ち切られても、その結果はあくまでも「経営責任」になってしまう。

次ページ形だけの「分社化社長」。その実態とは…?
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