日本株「年初6連敗」の次に控える大波乱の種 市場専門家も動揺、この逆風に勝つ銘柄とは

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三宅氏はこれらの中で、特に中国の動向に注視していると述べた。中国株式市場の動きだけでなく通貨安が続く人民元の動向についても目を配る。「足元で日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)との間でもっとも相関の高い指標は人民元と円のレート」(三宅氏)だからだ。

日本株市場を再び脅かし始めた中国リスク。中国経済に詳しい大和総研の齋藤尚登主席研究員は次のような「最悪シナリオ」を懸念する。それは「外貨準備高の減少が後日統計によって判明し、人民元売りがさらなる人民元売りを呼ぶ『元安スパイラル』」だ。

外貨準備は通貨当局が為替介入に使用する資金であるほか、他国に対する外貨での債務返済が困難になった場合に使用する準備資産。過去の経験から外貨準備高の減少は通貨危機を連想させるため、当該国通貨の売りが加速する。

運命を分けるのは中国人民銀行が人民元を買い支えている中で足元の元安が起きているのかどうか、だ。元買い介入を行っていれば外貨準備高は当然減る。「元買いを控えていることで足元の元安が進んでいるのであれば、その方がまだいい」と齋藤氏は話す。

3月FOMCをにらみヘッジファンドが売り崩す

「元安スパイラル」を免れたとしても市場の混乱は当面の間、続くかもしれない。3月に向けて米国の追加利上げが市場のテーマに上りそうだからだ。米国の追加利上げで日本との金利差が拡大していけばドル高円安に働くが、追加利上げのペースが市場の想定を下回るようだと、日本株市場にはマイナスとなる円高材料になりかねない。

2016年の大発会は大幅下落。波乱の幕開けとなった(撮影:尾形 文繁)

米国の金融政策を議論・決定するFOMC(米国連邦公開市場委員会)のメンバー17人は、2018年末までの各年末で何%の金利が妥当と考えているか、その予想を示している。その中央値から想定される今年の追加利上げ回数は4回だ。

最初の試金石と目されているのが3月15~16日に開催されるFOMC。ここで1回目の追加利上げができなければ、がぜん雲行きが怪しくなる。市場関係者は米国経済の回復力がそこまで強くはないとみて利上げ回数を年2~3回と予想しているが、ここで追加利上げを見送るとそれすら揺らぎかねない。

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