ソフトブレーン

営業部を強くする、新しいキーワード

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有能な営業と残念な営業……。その分かれ目はどこにあるのだろうか。営業現場によく見られるケースを基に創作したストーリーから、差が生まれるポイントを浮き彫りにしていきたい。大手メーカー系販社のA社で法人営業を担当するサトウ君は、つねに上位の営業成績をたたき出す、社内きってのヤリ手営業だ。一方、同じ部署に所属する同期のカトウ君は、いつも成績が芳しくなく、残念な営業の烙印を押されている。それぞれの1日の行動を追ってみると、ちょっとした違いがあり、それらが積もり積もって成績に影響しているようだ。果たして、その違いとは?

ある営業マネージャーの悩み

長田順三
ソフトブレーン
取締役 本社営業本部長
兼 営業企画・支援部長

 大手メーカー系販社のA社で法人営業部のマネージャーを務めるスズキさんは、営業部員によって成績に大きなバラつきがあることを悩んでいた。部下には同じように仕事を教え、手本を見せてきたつもりだった。それなのになぜか、できる営業部員とできない営業部員の差が生じてくる。成績下位者の成績を底上げできれば、間違いなく会社の業績自体もアップするはずだ。

 A社の法人営業部では、営業プロセスを営業部員それぞれの裁量に任せるというスタイルをとっている。顧客・得意先ごとに担当は決めているものの、いつどこに訪問するかなどは各人が決定する。いわゆる属人的な、マンパワー型営業の典型だ。一方、部内のスケジュール共有を目的にCRM(顧客管理システム)が導入されている。商談に成功した提案資料などはファイルサーバーで共有し、部員なら誰でも再利用できるものの、顧客や案件は表計算ソフトのワークシートを使ってそれぞれが自己管理。マネージャーはもっぱら営業成績を見て叱咤激励するのが日常だった。

 スズキさんはこうした営業スタイルが営業成績に差がつく原因ではないか、とうすうす感じていた。しかし、どのように営業プロセスを変更し、どのように指導すればよいのかがわからない。そこで部員の行動を観察して、どこで営業成績に差がついているのかを調べることにした。

 白羽の矢を立てたのは、共に入社5年目の同期であるサトウ君とカトウ君。サトウ君は決して話し上手ではなく、どちらかと言えば朴訥な印象の地味な青年。だが彼は、法人営業部でいつも上位の成績をあげている。一方のカトウ君は、明るい性格で話し上手。人当たりも良く、清潔感のある青年だ。けれども、彼は部署内でいつも下位の成績に甘んじている。

 彼らの行動にどんな違いがあるのか。1日の仕事ぶりを追った。

「量」は同じでも「質」が違えば大きな差に

 始業時刻の午前9時少し前、サトウ君とカトウ君はともに出社。本日の商談に使用する資料をまとめるなど、顧客・得意先に訪問するための準備作業を行っている。

 先に準備を終えたのはサトウ君。サトウ君は担当顧客・得意先ごとの提案資料はあらかじめファイルサーバーの個人用フォルダに整理しており、本日の訪問先で必要な商談履歴などは外出先からでもアクセスできるCRM上にまとめている。

 そのころカトウ君は、訪問先に持参する提案資料の手直しを行っていた。また商談履歴を記録している表計算ソフトのワークシートを開いて手帳に情報を転記。こうした訪問準備作業も、スズキさんが教えたものだった。

 本日の訪問先は、サトウ君もカトウ君も午前中に1件、午後に2件。カトウ君は午後4時半に帰社すると、商談内容を報告するためにパソコンで入力作業を行っている。そのすぐあとに帰社したサトウ君は、社内メールをチェックしたあと、おもむろに電話をかけ始めた。実はこの日、先週末に行われたイベントに来場した見込み顧客のリストがマーケティング部門から届いており、そのアポ取りのために電話をかけていたのだ。

 カトウ君にも同じリストが届いていたのだが、彼はその日の商談内容を忘れないうちにパソコンへ入力することを優先し、アポ取りの電話を後回しにしていた。それに対し、サトウ君は移動中にスマートフォンからCRMに報告書を入力しており、帰社後は会議用の資料作成すら要らない。このちょっとした時間の使い方の違いが、アポが取れるか取れないかという差に現れていた。

 2人の1日の行動を観察したところ、確かにカトウ君よりもサトウ君のほうが要領は良い。だがスズキさんは、これだけで営業成績に大きな差が出るとは思えなかった。では、どこに原因があるのか。長年、営業改革のプロフェッショナルとして活動するソフトブレーンの長田順三氏は、「訪問している顧客・得意先」にその答えがあると見る。

 「2人とも行動の『量』に大きな差はありません。決定的な違いは、行動の『質』にあります。つまり、サトウ君は行くべき先・会うべき人を訪問しているのに対し、カトウ君はそうでないと考えられます」

 長田氏は、営業マネージャーが知っておくべき「3×3の法則(サン・カケル・サン)」があると話す。営業を強くする「3×3の法則」とは、いったい何なのか?

営業マネージャーならば、押さえておきたい
強い営業を育てる「3×3の法則」はこれだ!

▲既存顧客の見える化、そのポイントは

▲新規顧客へのアプローチで重視する行動は

▲「忙しい」という課題を解決する方法 など