「1日1万歩で健康になる」は大きなウソだった 15年にわたる研究で"黄金律"が明らかに

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動脈硬化は、血管が詰まる病気です。血管というのは、もともとはきれいなパイプ状の形をしているのですが、血流中のいろいろな物質が悪さをして、血管内を傷つけるのです。若い頃は、血管内の傷をキレイに修復する力があるのですが、歳を重ねると、傷の修復が間に合わなくなります。その結果、血管内が細くなったり、でこぼこした状態になったりしてしまいます。

激しい運動をしている時、人は心臓からものすごい量の血液を送り出します。大量の血が、流れにくくなった血管を通ろうとすればするほど、血管は詰まっていきます。「激しい運動ができるほど、健康度も上がっている」という認識も、間違っているわけです。

健康に効く歩き方には、「黄金律」がある

一方、効果的なウォーキングというものも存在します。

日本人の「平均寿命」は、男性が79・94歳、女性が86・41歳です。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中、認知症、ガンなど生活習慣病……健康に対する不安を数え上げれば、キリがありません。

ところが、こういったすべての病気に対して「ある指標に基づいたウォーキング」が効果的であるということが、研究を通じてわかってきました。

ひとことでいえば、やりすぎでもなく、足りなすぎでもない「ほどほどの運動」です。「ほどほどの運動」こそが、あなたの健康に対する「万能薬」なのです。

先ほどの経営者の例でお伝えしたとおり、「歩けば歩くほど健康になる」と思って歩きすぎれば、免疫力が低下し、病気になりやすくなります。「やりすぎは体に毒」なのです。

だからといって、「足りなすぎても体に毒」。犬の散歩やスポーツクラブでの運動で疲れてしまい、それ以外の時間にぐったりしていては、健康を害してしまうのです。

では「ほどほど」の運動とはどんなものか。

「ほどほど」といっても感覚値ではありません。しっかりとした指標があります。「歩数」でも、「消費カロリー」でもありません。では、いったいどんなものでしょうか? 

「ほどほど」の運動とは……

1日24時間の総歩行数=「8000歩」

そのうち中強度の運動(歩行)を行う時間=「20 分」

この2つを組み合わせた数字です。

「8000歩/20分」

これが、私が研究をもとに導き出した健康長寿を実現する「黄金律」であり、あなたの健康を維持するための重要な数字なのです。

次ページどのくらいの強度がいい?
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