世界銀行は、どのような人材を採用しているのか 国際機関へ就職するために必要なこと

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世銀で働く魅力は何か。「一つは、国づくりというスケールの大きな仕事に、責任ある立場で関われること」と、平井さんは話す。2013年から、アフリカのルワンダ事務所でシニアカントリーエコノミストとして働く石原陽一郎さんは、その一例だ。

エコノミストとは、基幹産業の視察や経済指標などから、その国のマクロ経済を分析し、政府に政策提言をおこなう仕事である。「途上国では、長年の実績から、世銀のプレゼンスが非常に高い。だから、政策提言をするときも、末端の職員ではなく、政策立案者などのキーマンとアポイントを取れます。ダイレクトに伝えられるので、提言が反映されやすい。その国の発展に貢献できる実感があり、非常にやりがいがあります」(石原さん)。

たとえば、石原さんの提言のうち、採用されたのは「公共財政政策プロジェクト」。実際には提言にとどまらず、プラン作成から実行、検証までのサイクルを回すための組織づくりをサポートし、融資の手配にもつなげた。現地にいる3人のインターナショナルスタッフのほか、各国に散らばるさまざまな分野の専門家とチームを組み、財政支援など政府の要望にも応えている。

次の仕事は自分で探しエントリー

石原さんの入行は2001年、34歳の時だ。それまで、日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経て、インドネシアの日本大使館に勤めていた。銀行員時代にロンドン大学大学院に社費留学してインドネシア経済を学んだことから、大使館で経済政策に関する仕事をしていた。

「ただ、大使館なので、仕事の範囲は限られます。もっとインドネシアの経済発展に貢献できないかと考えた時、ベストな選択と思えたのが世銀でした。大使館の仕事で世銀の人と接点があり、興味を持ったのです」(石原さん)という。

インドネシアで採用が決まり、エコノミストとして働き始めた。7年勤めた後、「さらに困難な国の経験が積みたい」とアフガニスタンに赴任し、エコノミストとして3年勤務。その後、ワシントン本部を経て、ルワンダに赴任した。

「世銀の仕事の多くは任期が3~4年。任期が終わったら行内のジョブマーケットで次の仕事を自分で探してエントリーします。ルワンダを選んだのはアフリカを経験し、自分の引き出しを広げるためです。多様な経験を積んだことで、貢献できる幅が広がってきた。年を追うごとに仕事が楽しくなります」と石原さん。

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