駐日イラク大使、イラク復興へ、日本への期待を語る

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 だが、ようやくイラクも復興が語れるようになった。同大使は、「日本ではまだ治安が悪く、宗派、民族で分裂している、という否定的な印象が強いが、これを変えたい」と同大使は語る。

日本はフセイン政権後、イラクの大きな経済的貢献をしている。「イラクが抱えていた60億ドルの債務を解消してくれた。フセイン政権崩壊後の35億�のODAにより、イラクの病院、高速道路、通信インフラの整備が実現した」という。イラクでの病院建設では丸紅が受注し、13カ所の病院が完成した。

イラクの復興は、今後、(1)老朽化した石油産業の再建、(2)高速道路、電力、通信などインフラ整備、(3)環境の改善、(4)教育制度の整備、という方向があり、同大使は、「日本政府と企業は資金、技術、ノウハウとすべてを提供することができる」と期待を表明する。

「日本は再びイラクの主要なパートナーになってほしい。日本はイラクの周辺国(イランか?)ともよい関係を維持しているのですべての条件を満たしている」。

すでにイラク南部バスラの港湾、精油所、発電所など日本のODAがらみのプロジェクトが動いている。すでにイラクのインフラ整備で三菱商事、丸紅、石油資源開発、AOCホールディングなど日本の商社、石油企業が動き出している。

イラク復興に必要な資金の規模はどのくらいか。同大使は、具体的な金額は言わないものの、「相当大きな金額が必要だろう。日本経済にとっても飛躍の機会になる」という。

フセイン政権時代、イラクは世界有数の産油国だった。今でも石油・ガスの埋蔵量など石油のポテンシャルは高い。フセイン政権はそのポテンシャルを、「アラブの盟主になる」という誇大妄想的な目標に費やし、破滅を招いた。今後の復興は経済優先になるだろう。すでにFX(為替取引)でディナールに注目する個人投資家もいるという。「最後の新興国」であるイラクの復興の行方が期待される。
(内田 通夫 =東洋経済オンライン)

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